令和7年度の活動方針

一般社団法人日本創造経営協会の中村邦則でございます。

当協会の中心となる創造経営理論は、創業者の薄衣佐吉が昭和23年の創業以来、会計の本義に基づいて多くの企業再建に取り組む中から体系化されてきた理論です。

当協会は、この創造経営理論に基づき、『働く人が健康で長寿な創造生活と持続的発展を実現する創造的経営の調査研究とその普及を通じて、地域の活性化に貢献し、生活者経済社会の実現に寄与すること』を目的に活動しています。

当協会の母体となる日本創造経営グループは、戦後の日本経済の発展と共に歩んでまいりました。しかし、日本の経済は、バブル景気の中で日本人や日本の企業が本質的に持っている特性を忘れ、本来得意とする日本的経営から逸脱してきました。その結果、バブル崩壊後、「失われた30年」を迎えることとなりました。

このような社会環境下で、今、私たちがやらねばならないことは、「日本的経営」の本質的な価値を維持しつつ、現在の社会状況に適応させていくことであると考えます。日本的経営とは、長期的視点に立つ人を中心とした経営であり、自発的な力を活かした経営を指します。

当協会としては、日本的経営の本質を再確認し、皆様に提示させていただくため、令和7年度は「令和における日本的経営の創造
-未来を拓く参加型経営-」をテーマに、令和7年度の基本方針と活動方針を提示させていただきます。

令和7年度 日本創造経営協会の基本方針と活動方針

世界は、近代民主主義によって安定を保ってきましたが、ロシアや中国による勢力拡張の動きに加え、アメリカ第一主義を掲げたトランプ氏の大統領就任を契機に、国際的な対立の激化や貧富の差の拡大が進み、不安定な状況に陥りつつあります。この流れは、創造経営の観点で見ると、自分や自国を優先し他者を受け容れない「個別生命観」に属しています。
令和7年度の日本創造経営協会は、この不安定な状況から会員各社を守り、未来を切り拓くために、「令和における日本的経営の創造-未来を拓く参加型経営-」を基本方針とし、祖先と子孫が一体となる「動態連続生命観」に基づいた願いの感得とその実現を目指す日本的経営を推進してまいります。
また、当協会が発刊する「創造経営2025年マネジメントガイド」では、世界的な危機を乗り越えるために、日本的経営の土台を再確認するとともに、自立的経営から創造的経営を目指すために、一人ひとりの個性を生かしながら、経営目的と各自の考えを調和させた参加型経営を提言しています。

1.創造経営教育の再構築と生産力の充実

会員各社においては、①経営課題の明確化、②それらを克服するための人材育成計画の策定、③経営課題と参加者各自の課題を明確にした上での教室参加、④フォローアップ面接や研修会の実施、⑤課題克服の評価といった流れをつくり、教室活用を推進します。さらに創造経営教育の価値である感動を与えるスタッフの育成を目指します。
また、昨年度は、教室のスタッフ不足からくるキャンセル待ちの状況を作ってしまいました。今年度は、日本創造経営グループとして面接スタッフを育成強化し、生産力の充実をはかります。

2.中核企業づくりのための大学院の展開

昨年度に開校した大学院では、「企業化計画」と「生命力開発」を軸に取り組んでいます。企業化計画では、創業の精神や環境変化、差別化要因を踏まえ、「なっていたい姿」を描き、全員の納得と共有化を目指した参加型経営を推進します。一方、生命力開発では、経営者夫妻が相互家系の産霊により生命力を高め、経営基盤強化と新たな事業生命の創出に取り組んでいきます。
今年度は第一期大学院のカリキュラムを充実させながら、組織的な中核企業づくりを本格的にスタートします。

3.マネジメントガイドの活用による支部活性化

今年の創造経営マネジメントガイド第3部では、「経営体質を転換するリーダーの育成」をテーマに創造経営教育システムを活用しながら、組織を担うリーダー育成について解説しています。これらは、解説文、チェックリスト、説明動画の3つを通じて、リーダー自身が内容の理解を深められる構成になっています。
今年度は、支部活性化の取り組みとして、マネジメントガイド第3部を活用した「人づくり組織づくり」を提案するとともに、会員各社での経営体質向上にも活用していきます。

4.デジタルコンテンツの開発と活用

昨年度、令和の時代に即した基準創造行動のコンテンツを新たに開発しました。家庭や学校での教育機能が低下する中、企業が「人として」「社会人として」の基本を教える役割を担うことが求められています。この役割を果たせる企業こそが、これからの時代を生き残る強い組織となります。今年度は、このコンテンツを活用し、会員各社での教育研修を展開するとともに、教育体制の整備を進めていきます。さらに、「創造する管理者」シリーズや、創造経営を広く紹介するデジタルコンテンツの開発にも取り組み、企業の教育研修、創造経営の「一波万波」を支援します。
個別生命観が拡がる世の中で既存会員を守り、さらに経営体質の充実に取り組む中で、自立企業から創造経営への成長を目指していきます。そして、新規入会20社を目指して「一波万波」の運動として展開していきます。

理事長 中村 邦則