超富裕層に対する課税の見直し
1概要
2025年(令和7年)分から適用開始となりましたミニマムタックス税制ですが、2026年度(令和8年度)の税制改正大綱において制度の見直しが行われました。この改正により、2027年(令和9年)分の所得からさらに課税が強化される見通しです。
ミニマムタックスとは、高い水準の所得を持ついわゆる超富裕層の方々を対象とした所得税の追加課税措置です。
2ミニマムタックス導入の背景
ミニマムタックスが導入された理由は、いわゆる1億円の壁と呼ばれる税負担の逆転現象をなくすことです。
日本の所得税は、事業や給与などの総合課税に該当する所得に対しては超過累進税率が適用され、最高で税率は45%となります。一方で、株式の売却益や配当などの金融所得については分離課税が適用され、どれほど利益が出ても税率は一律で15.315%に留まります。
そのため、所得が1億円を超えるような富裕層になると、所得全体に占める金融所得の割合が大きくなり、結果として全体の所得に対する実効的な税率が下がっていくという現象がありました。事業や給与で稼いている者よりも、株で巨額の利益を得ている者の方が実質的な税負担割合が低いという不公平感を是正するために、この制度が設けられました。
3改正内容
2026年度税制改正による主な変更点は、特別控除額の引き下げと税率の引き上げです。
特別控除額が減り、税率が上がっているため、対象者が大幅に増えることになりそうです。

4改正の影響
M&Aによる自社株の売却や都心の広大な不動産の譲渡などを行った場合に税負担に影響を受けることが予想されます。
これらにより6億円の所得が生じた場合を例に、改正前後における税負担を比較します。
※総合課税の適用を受ける所得は0円、基準所得税額は6億円×15%により算定しております。(便宜上、所得控除及び復興特別所得税は考慮していません。)
改正前は追加納税がありませんが、改正後は新たに約4,050万円の追加納税が生ずる見込みです。
高所得者やオーナー経営者、株式・不動産などの資産譲渡を検討している方にとっては、改正内容のみならず、譲渡時期や契約時期の判断がこれまで以上に重要になります。
早い段階で税理士に相談し、税額シミュレーションを行い、適切なスケジュール設計を進めることが大切になります。
5基準所得金額に含めないもの
基準所得金額の計算上、次に掲げるものについては、対象外のため含めません。
⑴ 源泉分離課税の対象となる利子所得の金額
⑵ NISA口座内で生じた譲渡益や配当の金額
⑶ エンジェル税制の適用により控除された株式譲渡益相当額の金額
⑷ 非課税特例が適用される国・地方公共団体等への寄付として行われた譲渡金額
5用語の意義
⑴ 基準所得金額
総所得金額及び分離課税の各種所得金額を合計したもの(申告不要を適用できる所得の金額を含む)をいいます。
⑵ 基準所得税額
申告不要を適用する所得を除いて計算した場合の申告書上の所得税の額及び申告不要を適用した所得に係る源泉徴収税額を合計したもの。



