インボイスの少額特例について
1インボイスの少額特例とは
少額特例とは、税込1万円未満の経費であればインボイス(⼀定の要件を満たした請求書)を保存しなくても仕⼊税額控除を受けることができる制度です。
2インボイスとは
インボイスとは、複数の消費税率を適切に明記することやインボイス発⾏事業者の登録番号を記載すること、などの⼀定の要件を満たした請求書を発⾏・保存する制度です。
3税込1万円未満の判定単位
「税込1万円未満」であるかどうかについては、⼀商品ごとの⾦額ではなく、1回の取引⾦額で判断することとなります。
(例1)7,000円の商品と4,000円の商品を同時購⼊
(解説)商品ごとの⾦額は1万円未満ですが、同時に購⼊したため1回の取引⾦額(7,000円+4,000円=11,000円)が1万円以上となり、少額特例の対象とはなりません。
(例2)2,000円の同じ商品を7回に分けて購⼊
(解説)商品総額(2,000 円×7=14,000 円)が1万円以上ですが、1回の取引⾦額が2,000円であるため、少額特例の対象となります。
4少額特例の適⽤期間
少額特例の適⽤期間は、2023年10⽉1⽇から2029年9⽉30⽇までです。2029年10⽉1⽇以降については、インボイスの保存義務があるため注意が必要です。
5適⽤要件
少額特例を適⽤できるのは、次のいずれかを満たす場合です。
・基準期間における課税売上⾼が1億円以下であること
・特定期間における課税売上⾼が5千万円以下であること
基準期間とは、法⼈の場合、対象事業年度の前々年度(事業年度が1 年の場合)、個⼈事業主の場合、対象年の前々年、を指しています。
特定期間とは、法⼈の場合、前事業年度の開始⽇以後6ヶ⽉間、個⼈事業主の場合、前年1⽉〜6⽉までの期間、を指しています。
6その他注意点
(1)少額特例を受けるために届出は必要か
適⽤要件や税込1 万円未満の判定基準を満たしていれば、届出などは不要です。
(2)帳簿の記載事項
インボイスの少額特例を適⽤するには、以下の事項を記載した帳簿を保存する必要があります。
・課税仕⼊れの相⼿⽅の⽒名か名称
・課税仕⼊れを⾏った年⽉⽇
・課税仕⼊れに係る資産または役務の内容
・課税仕⼊れに係る⽀払対価の額
7まとめ
少額特例は、税込1万円未満の課税仕⼊れについて、インボイスを保存しなくても仕⼊税額控除を受けることができるため、事務処理の簡略化や節税効果が期待できます。
⼀⽅で、税込1万円未満の判定や適⽤要件などがあるため、判断が難しい制度と⾔えます。そのため、少額特例について、疑問点などがありましたら、税理⼠などへご相談下さい。