2018/01/31

平成29年度税制改正 取引相場のない株式の評価方法見直し

1改正内容

平成29年1月1日以後の相続・贈与等により取得した取引相場のない株式(非上場株式)の評価方法が以下のように改正されました。
変更内容 改正前改正後

2改正の影響

【①について】
大会社の適用範囲を拡大
⇒一般的に純資産価額より類似業種比準価額の方が低い会社が多いため、低い株価を評価額とすることができる会社の範囲が増えることとなりました。

【②について】
平成12年度税制改正により利益金額の比重が「3」とされ、平成29年度税制改正前は「利益金額重視型」でしたが、比重の平均化がなされました。
⇒近年業績が好調の会社の株価の評価額を抑える効果があります。一方で、従来役員退職金の支給、特別償却の活用、含み損を抱えている不動産の売却などにより利益を圧縮し、自社株の株価を意図的に下げることができましたが、改正後は利益圧縮による節税効果が薄くなってしまいました。

【③について】
適切な時価の算定のため、比準要素の数値に連結決算を反映
⇒一般的に単体の個別金額よりも連結ベースの方が金額は大きくなると想定されます。このことから、類似業種比準要素の数値(分母の金額)が大きくなると考えられるため、株価は改正前よりも下がることとなると想定されます。

【④について】
類似業種の株価についてより長期間の2年間平均値が取れることとなりました。
⇒近年上場会社の株価が急激に変動することがあることから、中小企業の中には、業績に大きな変化のない状況下であっても、上場会社の株価上昇により想定外に株価が高く評価されてしまうことがありました。今回の改正によりこの株価の上昇を抑えることができる効果があると考えられます。

以上