2013/01/11

情報創造コンサルティング事例その5 「運行管理と経理業務の改善を通して請求ミスを無くし、月次の部門別損益の早期化によって対策・改善を実施」

1会社概況

業種:物流業

従業員:80名。営業拠点3か所と倉庫3か所。

車両:自車と傭車を合わせて100台(繁忙期は200台)

社長のバイタリティの高さと合わせて、物流業務と対外信用力は高く評価されている。

2目的と背景

運行管理システム、EXCEL管理帳票、財務管理システムを中心に会計情報を管理しています。これらの会計情報を元に作成した月次損益、車両別損益・原単位の検討を行っています。

拠点増加に業務と管理体制が追いつかず、売上計上ミスが発生し、更に、全社月次損益計算書の営業所別損益計算書への展開、車両別損益に正しく分解ができませんでした。仕組みとフォームは作りましたが、業務の遅れと、力作業で作りこむためにミスが多く、検討できる精度の資料を作れませんでした。この改善のため、生成と加工プロセスの正確性と早期化への取り組みを行いました。意思決定情報の質を高め、売上(販売力)と自車傭車配車(生産力)の調整と、3か月先行管理による顧客開発に取り組みに始めました。

3取組内容

1情報生成プロセスの改善【正確性×→○ 時間△→○ 継続性×→△】

受注→配車→運行→配車管理表・日報→運行管理システム→売上請求外注管理

1生成プロセスの現状

売上の確定が遅く、請求ミス、請求漏れ、逸失利益(請求漏れに気づいていない)が発生していました。傭車費の確認が相手任せで、事例会社側の確定数値を持っていませんでした。当然、このような情報から加工される意思決定情報、特に、車両別損益、部門別損益の精度が低い状態でした。

2改善への取り組み

当日中の正しい伝票処理を進めるために業務改善を実施しました。①売上計上基準の整理と、売上形態(車建て、月額、従量)毎に妥当な入力方法を設定し統一を進めました。②業務プロセスを改善し、マニュアルに落とし込み、その周知と徹底を進め、運行管理システムの運用精度を高めました。③受注と売上の元である配車表の改善とシステム改善を行いました。

事務担当者の意識改革を中心に、処理時間短縮への対応を行いました。自分で処理した結果が、全社の意思決定にどのように影響するかを繰り返し話し合い、受け止めてもらいました。そして、情報処理フローを明確にし、作成帳票のスリム化を図るとともに、事務担当リーダーに担当者の役割を明確にさせ、担当替えを定期的に行って、どの業務もできる人材の育成を進めています。

その結果、請求ミスと請求漏れを防止するためのトリプルチェック体制をやめることもでき、大幅な時間短縮により事務員の余裕が生まれ正確性も増しています。

2情報加工プロセスの改善【正確性×→○ 時間△→○ 継続性○】

・営業所別損益作成 ・協力会社別傭車別日次粗利益作成

生成プロセスの改善により元データの正確性が向上しました。併せて、総務責任者が一人で力作業によって管理帳票を作る体制から脱却でき、限界利益まで翌月10日には把握できるようになりました。一部固定費を除けば月次試算表が出来上がります。傭車費の把握に苦しみ、月末になっても正確な数値が取れないことが多かった事例会社にとっては画期的なことです。

営業所別の売上経費分解手順や基準などを整備して、営業所別損益を検討可能な精度まで引き上げ、月2回の実績検討会にて売上と利益と変動費の改善対策を進めています。

3情報活用プロセスの改善

内部情報(加工プロセスで把握)+外部情報(営業・傭車)⇒構造転換と未来予測

加工プロセスの改善で、部門別損益と協力会社別粗利益で損益構造の改善を進めてきました。また、数値を出し始めたことにより、役員層の計数への意識が高まり、管理する営業所の損益算出に積極的に関わって推進を始め、自ら会計情報をベースに検討と意思決定する力が定着してきました。

社長から出される利益率改善目標への営業所責任者の対応も、顧客別の動向と売上予測、傭車確保の状況を踏まえて、数値を明らかにして検討するようになりました。内部の会計情報に、外部情報である営業情報と傭車情報を加えて、先の予測を行い、キャッシュフローを含む先行管理への取り組みが始まっています。

4情報創造コンサルタントから一言

状況が好転してきたのは、総務責任者が、情報マネージャーとしての役割を認識して、本社を含む全営業所の運行管理システムの運用改善に取り組み始めたことがきっかけでした。今まで個人で奮闘してきた体制から、各営業所とともに改善チームを作り、そこを通して改善を進めるようになりました。これにより、事務担当者の意識改革も進み、加工プロセスにあたる実績検討会資料など意思決定情報の精度向上につながっています。