2013/01/08

情報創造コンサルティング事例その2 「国内外グループ各社間SCMを構築し、業務効率化と顧客満足向上(多品種、小ロット、短納期)を実現」

zirei02

  • バーコードを使い、グループ各社間の一貫した受発注、仕入在庫管理、販売管理システムを構築し、リアルタイム在庫確認を実現。お客様への販売機会ロスを減らす。
  • グループ各社の店舗POSを接続し販売情報の一元化を実現。
  • 納品書、請求書等の手書き業務からの脱却

1会社概要

業種:ガラス製品製造販売

従業員:120名

ガラス製品の製造、販売を行っています。国内と海外に生産拠点を持ち、輸入、小売、卸売りとそれぞれ分社化しています。良質で安価な商品から芸術作品まで幅広く展開しお客様へ提供しています。

2目的と背景

各店舗にPOSは導入されていたものの、その情報はグループ内で有効活用されているとは言えませんでした。販売管理システムはなく、全てが手書き手作業で管理のために多くの時間を割いていました。在庫も「見た目」管理ですので、在庫確認のため全店舗に電話で聞いて回り、聞かれた側は実際に倉庫に見に行って返事をする状況で、その間時間がかかりお客様への適切な商品提供が滞ることも多い状況でした。

生産効率化、品質管理(安定生産)、販売・生産間の調整、在庫管理、商品開発上の課題を解決するために、経営基盤強化、業務改善、業務省力化、基盤となるITインフラの整備、組織連携、情報分析活用の強化実現を目指しました。

3取組内容

1経営基盤強化(業務改善の推進)

会計は経営の羅針盤であり、経営における共通言語です。情報システム導入を行う前に、経営基盤強化の一環として、会計システムの整備、会計担当者の育成、実地棚卸と営業および営業経理の業務改善、グループ経営会議の実施による意思決定機能の充実、各社経営責任者の組織化を実施しました。これにより、グループ各社部門別の月別利益計画の設定、月次決算の標準化と精度向上、グループ経営会議における各社業績報告と検討、月次棚卸の実施、生産原価とロスの把握、営業日報を活用した営業情報の集約、販売活動の統制整備を進めました。

2IT戦略の策定

ITCプロセスを使用し、当グループの抱える課題と今後進むべき方向性を検討し、それを実現するためのIT戦略の立案をおこないました。

3業務プロセスの再構築

経営基盤強化で実施した業務改善の枠を各社単位から、グループ単位に引き上げて検討を開始しました。各社、各業務機能を結びつけ、情報の一元管理と活用をするため、業務プロセスの再構築を実施しました。

まず、大きな枠組みで概要を設定し、この概要を作り上げる過程で、各社トップ、現場責任者、プロジェクトメンバー間の価値観の一本化を行いました。情報システムがほとんど導入されていなかった当社にとって、実際に仕事の流れを変化させ定着させること、正しい情報を的確にインプットするための業務精度の向上への取り組みは、システム導入後も精力的に続きました。

4情報システムの導入

WAN/LANの構築、クライアントサーバーシステムの導入、全店舗のPOS入れ替え、グループ各社を結ぶ受注・販売・発注・在庫・エージェント管理システムの新規導入とデータベースの一元化、リアルタイム情報更新を実現しました。これらのシステムは3段階に分けて導入を行いました。これにより、

  1. 1生産拠点との発注、未出荷、出荷、入荷予定情報のデータベース化による受発注作業の効率化、グループ各社への出荷情報への転用。
  2. 2検品情報の共有等により、検品基準の明確化と品質安定と歩留まり率向上
  3. 3POSデータの個別販売情報を活用し販売予測と販売計画の作成、キャンペーン内容への展開(客層、季節性、商品構成、陳列方法)。
  4. 4行代理店別の売上を基本としたエージェント管理

を目指しました。

4導入効果

1拠点間の情報共有

生産拠点との受発注がシステムを経由することにより2日程度短縮することができました、また、商品画像データや細かい指示書をオンライン経由で明確な指示ができるようになりました。

2在庫管理

生産拠点からの出荷情報と生産情報をデータ化することにより、商品一つ一つの在庫管理をすることが可能になりました。これに伴い、生産状況、受注状況を仕入れ内容に反映させ、不良在庫を減らすことができるようになりました。更に、システム上でリアルタイムで在庫を捉えることができるのでお客様からの問い合わせには電話口、店頭ですぐに答えることができ販売機会のロスが減りました。

3販売顧客情報の活用

販売、顧客情報の収集分析を行い、新商品開発、販売プロモーション、仕入れへ情報活用を行っています。一人一人の取引先、売上、売掛金管理が数値で的確に把握することができるようになり営業担当者も数値的に正しく管理することができるようになりました。店舗をもっておりますので、そこにお客様を誘導していただく代理店エージェントの管理が必要でしたが、エージェント別の売上およびお客様情報の管理が瞬時にできるようになりました。

4商品開発

商品開発情報把握することができるようになり、商品開発時に必要な情報(デザイン、サイズ、画像データ、注意点)を管理することができ、企画開発も時間短縮が図れました。

5人材の成長

業務担当者や管理者が得られた情報を加工し業務に活用する風土ができてきたこと、今回の一連のプロジェクトを通して、プロジェクトメンバー自身の成長に繋がりました。

5今後の展望

システム導入自体にステップを設けましたが、運用についても3段階計画で進めています。

運用1年目(導入)

グループ社員に、導入をしたシステムの手順、活用方法を徹底して教育し、売上アップを実現するために必要な情報を迅速に提供できるようにする。

発注計画をたて、どこにどれだけ開発依頼するかを判断し、生産計画と在庫情報を元に在庫を削減し適正在庫管理を実施する。

運用2年目(蓄積データの分析活用を行う)

商品構成の充実を図り、売上アップにつなげる。

  • 商品別の売上分析、利益率、原価分析、在庫回転率の分析
  • 取引先への迅速な新商品の提案

お客様情報を管理し、顧客サービスの徹底と向上をはかる

  • 取引先別売上情報、利益率分析
  • 個人顧客の販売動向に基づく新商品の提案

運用3年目(成長)

今までの実行内容の安定定着を重点とし、導入システム、業務プロセスの見直しを実施し、更なる成長を図る

6情報創造コンサルタントからひとこと

今回の導入にはユーザー企業、開発ベンダー、ITコーディネータ(株式会社ソウケイ・ハイネット)の3者にて推進しました。ITコーディネータとして、プロジェクトの組織化と運営、情報・業務分析、仕様検討、業務改善案の作成、RFPの作成、開発管理、運用体制検討と実施してきました。3者の絶大なる協力が無くては成し遂げられなかったプロジェクトです。各位に感謝します。