2010/01/16

業務改善とITの活用その5 「情報はPDCAの中に活かす」

1重要指標の設定と取得、意思決定

会計情報と各業務から生まれる原単位数値は、ともに経営状況を客観的な数値で把握することができる。他の定性的事項とともに意思決定の基礎としなければならない。

そのためには、必要な数値は何かを目的に合わせて設定し、継続的に得ることができる仕組みを作り上げることが重要であり、経営層、管理層、現場で「いつの」「どのような」数値が管理目的に必要なのか調べることがその出発点である。

数値には経営目的の達成度合いを測る指標として目標数値と、目標数値の進捗度合いを現場レベルで捉える管理数値とがある。

運送業において、目標数値を運送総利益に設定した場合、その源泉となる車両別に分解して、売上、損益、売上/Km、稼働率、実車率、燃費などが管理数値となり、原単位管理となる。

製造業において、目的を生産性の向上においた場合、目標数値は1時間当たりの生産数量となり、これを測定するための、標準作業時間、設備稼働時間、不良および作り直し発生率、歩留り率が管理項目となる。

これら管理項目を測定するためには、更に細かな数値を捉えなければならない。その数値は現状で測定できるものか、正しいものか、作り出すのにとても苦労していないか、検討し、必要に応じて業務改善により創り出す仕組みを整えていただきたい。

その仕組みは「手作業とアナログ情報」で述べたように、手作業で行う場合と、情報システムから取得する方法の両者があるだろうが、できるところから少しずつ進めていって欲しい。

4情報がスムーズに流れPDCAに貢献しているか

苦労して得ることができた情報がスムーズに社内・社外に流れ、循環しているかどうかの検証をしていただきたい。これは組織内最適化を図る上で重要なことである。

また、

  1. 1部署、業務間で情報の重複管理がされていないか
  2. 2二重入力されていないか
  3. 3他部署が一度作成した資料を組み合わせて新たに別の資料を作成しないと自部門の業務が動かない状況にないか
  4. 4顧客からの問い合わせに対してワンストップで対応ができるか
  5. 5受注、発注、生産計画、在庫、販売業務が繋がり、一つに紐づいているか

これらに該当する場合も要改善対象である。

上記のことができてくると、現場を巻き込んだ業務の執行と改善のPDCAサイクルを、ITを活用して効率的にまわす土台となる。

実際にPDCAを運用する人と組織の成長と共に収益力向上にもつながる。

情報の活用度合いを高めるには様々な要件があるが、しっかりと現状把握を行い、ステップを作って進んでいただきたい。

(文責:久住 久也 2010)