2008/01/16

情報創造の展開 その5 「情報創造の展開 A社の事例」

4会社概況

2A社の事例

製造卸売部門と直販部門を持つA社は、卸売り部門の受注量の増加により、受注業務の処理能力が限界にまで達してしまった。現在の受注販売管理システムでは突発事項が発生した際の余力を見出すことができず、通常でも処理待ちにより作業時間が長くなっており、解決が求められていた。

目に見える範囲では、このシステムの能力をアップさせることで、事が済んでしまう。ただし、対象が顧客に関係する部分であり、また、受注販売管理システムが生産指示の一部機能も有していることから、単一業務課題と捉えるわけにはいかなかった。

そこで、全業務プロセスの可視化と課題の抽出、そして情報の流れを整理することを行った。情報創造プロセスの「人づくり」を実行するためにも、この作業はA社の社員数名と共に実施をした。そして「共創の場」として、次世代をトップに各部署の実質的な責任者をメンバーとした情報プロジェクトを編成した。そこでは、社長の考えをメンバー全員が共有し、各部署責任者も、全社目線で皆が考えることを方針として運営することができた。

診断の段階で、内在する課題が浮かび上がってきた。課題解決のためには、大きな業務改善が必要なものもある。業務改善だけではなく、事業展開のためにICTが手助けできる部分もあったが、これら全てを短期間で行うことはできない。中期計画を作成することを目標にプロジェクトを行った。

数ヶ月のプロジェクト活動を行い、様々なやりたいこと、やらなければならないことを明確にし、優先順位と予算、現場対応力を加味して3年の情報化ビジョンを作成した。

目標は大きく膨らんだが、「ICT成熟度モデル」の適用と、現場の業務改善余力、投資効果の観点から、「発展性と接続性のある、小規模な情報システムの計画的導入の連続」により、成果を目に見える形にしながら目標の達成に向けて進むこととした。

プロジェクトは、計画作成から、実行の段階に入り、現在、第一次システムの選定作業中である。当初計画を見直す局面もあったが、柔軟に対応することも必要である。第二次システムは業務改善を先行させ、定着を図ってから進める計画である。

(文責:久住 久也 2008)