2009/01/16

中小企業の情報創造その4 「IT活用度の5段階」

3IT活用度の5段階

中小企業のIT活用について、その取り組みレベルによって5つのステージに分類した。一足飛びには上のステージに上がることはできず、そのステージごとのIT活用と期待できる効果がある。自社の位置するステージを見つけ、レベルアップのための活動を継続することが成功への道である。

問題が発生した時、「なぜそうなったのか」を十分に検討することは大切なことであるが、スピード経営が必要な現在では「いつどんな対応を行ったのか」も重要である。問題発見のスピードを上げることで素早い対応が可能になる。経営指標、現場実績、原単位情報をアラームとして素早く入手できれば「気づく」機会が早く、多くなり、損失を最小限に止める。これにはITを活用した仕組みが不可欠であり、ITのカバーする業務が広がり、拠点が増え、企業間の連結が進むほど重要性は増す。

1【ステージ1】基盤整備・事務効率化

  1. 1IT化を進めるためのパソコン・インターネット・電子メールなどの情報ツールが導入されている。
  2. 2会計・給与など基本的な事務支援ソフトの導入による効率化が進む。
  3. 3業務システムは清書マシンとして利用され、手作業からの脱却による効率化が見られる。

2【ステージ2】業務効率化

  1. 1販売管理、生産管理などの個別業務システムの導入により、事務、作業現場の個別業務プロセス効率化 を進められる。
  2. 2現場データは、手作業による記録集計と業務システムの両者によって把握できるが定型的な出力帳票にとどまっている。
  3. 3顧客からの要求に応える形で電子取引を行っている。しかし、取引先企業ごとにシステムが変わり、開発運用に苦労する。

3【ステージ3】情報管理

  1. 1業務分析により業務プロセスは可視化され、課題発生場所の特定が容易にできる。必要な情報をどの場面でどのように創り出せば良いか、また発生しているかが把握されている。
  2. 2取り出した情報は原単位情報として集積管理され、現状把握とそれに基づく意思決定をしている。
  3. 3顧客や利害関係人への積極的な提案を情報の裏づけを持って行うことができる。
  4. 4顧客の購買チャネル変化に対する視点を持ち、WEBなどへ活用の幅を広げられる。

4【ステージ4】情報活用・改善

  1. 1各業務の個別システムが連携し、全社的なシステムとなり、業務間でスムーズなデータ活用ができる。
  2. 2業務システムから必要な経営情報、現場情報を「直ぐに」取り出すことができる。日常業務の中で問題発見のスピードが上がり、素早い対応と意思決定を補助している。
  3. 3蓄積された経営、原単位情報の分析により、経営効率、現場生産性の改善を進めることができる。PDCAサイクルの確立による継続的改善。
  4. 4顧客、販売情報を商品開発やマーケティングのために情報を活用できる。

5【ステージ5】高度活用

  1. 1蓄積された情報を将来予測に活用している。
  2. 2システムが外に向かって開き始める。グループ企業内、企業群内、外部企業間取引に積極的にITを利用することにより、サプライチェーンの一翼としての機能、規模のメリットを追求できる。これにより新たなビジネスモデルの生成ができる。