2012/01/06

スマート

 街中にスマート〇〇が氾濫している。スマートという言葉を頭に付けると、今風になるのだそうだ。スマートフォン、スマートテレビ、スマートカ―、スマートホーム(ハウス)、スマートタウン(シティ)、スマートグリッド等々。何だか地球全体が包み込まれそうな勢いである。

 今年の初め、年頭の方針に「今年はスマートテレビがはやる」と宣言した。社内からもあんなことを発表していいのですか?という疑問の声があがった。テレビまでスマートになって(薄型になるという意味ではなく)、商売にどんな影響があるのですか、というわけだ。しかしわずか半年で環境は変わった。

 スマートという言葉には、頭が切れる、高知能という意味と粋、かっこいいという意味がミックスされている。その意味での代表はスマートフォンであろう。従来の携帯電話に対して、インターネットを利用した数えきれないほどのアプリが、ほとんど無料でダウンロード出来ることによって、携帯端末としての機能を備えることになった。

 大きさも携帯電話とほとんど変わらないものから、iPadのような大きさのものまで今後も数えきれないほどの携帯端末が発売されるであろう。場合によってはTPOによって、数台を持ち歩く人も出て来るかもしれない。

 持ち歩かなくていいなら、テレビの出番である。昨年までに発売されたテレビの中にはインターネットにつながるものもあったが、使い勝手から言ってとてもスマートとは言えない代物であった。ところが、そんなテレビ業界に対して、一挙に技術革新を迫る事件が発生した。日本の家電メーカーの大赤字である。従来型のテレビはいくら作っても赤字が膨らむだけで、経営的には全く意味のない状態にある。そこでメーカー各社が研究開発費をつぎ込んでいるのがスマートテレビである。

 生活者経済が言われて久しい。これまでの技術革新が産業界を目指していたのに対して、これからの技術革新は家庭生活を目指していくことになろう。その中心は高齢者である。高齢者の見守りを人間が行うのは極めて厳しい状況にあるが、インターネットを使えばかなりのことは出来る。インターネットは超高齢社会を迎える我が国にとって、必要欠くべからざるものになるであろう。

 まだまだ難しい操作も、高齢者に優しい方式を目指して開発が進むはずである。その頃にはスマートという言葉の意味に、「優しい」という意味も付け加わるかもしれない。

(文責:岩崎 明 2012)