先端ITと企業経営との接点 AIの観点から 3
1、AIの中小企業の生産現場への適用
生産現場のキーワードは、「AI+IOT」、「人手不足の解消」、「省力化」にあり、AI技術(画像、音声、顔認証)を利用した、省力化設備の導入が代表例としてあげられる。
AI技術は我が社には早い、大掛かりな設備を導入する余裕は資金的人的に無いなど躊躇するむきもあるが、既に実用化されているシステムを流用する、業務の一部分にAI活用を限定する、AI導入を手掛けるIT企業と組む、パソコンや低価格センサーを使いIoT装置を自作するなど、できる限り簡単に、かつ低コストでAIを導入することができる。現場の手書き日報のデータ化もAI技術により精度があがり、誤変換チェックは必要なものの、手入力する手間は大幅に減少し省力化につながる。
(1)事例①「AI推論が可能な振動センサー、工場の予知保全を容易にする」
AI振動センサーが生産機械の通常時の振動を事前に学習する。AI振動センサーが日常監視し、通常挙動と違う傾向の振動を検知したときにアラートを発生し、事前に部品交換や修理を行い、操業停止や事故を防ぐ。
(2)事例②「製造設備の稼働状況を「見える化」するIoT活用」
光(照度)センサーを工場の回転灯「パトライト」の「稼働」「材料切れ」「警報」の3色のライトそれぞれに貼り付ける。製造設備に改造などの手は加えないため、簡単にIoT化が可能である。稼働、材料切れ、警報を判断し、社長室など生産現場から離れたパソコン上に表示し、生産設備の稼働状況を見える化する。データをクラウドサーバーに蓄積し、集計や分析すれば生産工程の改善に活用できる。
(3)事例③「AI自動コンテナ荷下ろしロボット」
現在は常温コンテナの段ボールに限られるが、輸送コンテナの商品の手下ろし作業を、AIの画像認識技術を使って自動で行うロボットが開発され、炎天下のつらい荷下ろしからドライバーを解放し雇用確保にもつながる。
(4)事例④「顔認証による勤怠管理システム」
事前に社員の顔を登録しておき、出社した人をカメラで撮影する。その動画から顔認証を行って人物を特定し、その人の名前と現在時刻(出社時刻)を管理者に電子メールで知らせる。
2、デスクワークへの適用
まずは、個人が個人業務の付加価値向上のために生成AIを使い、成功体験を組織内に積み重ねる。EXCELのように当たり前に使っている姿を想像していただきたい。
デスクワークへの展開のキーワードは「AI+RPA」、「生産性向上」、「知的業務シフト」にある。AIとRPAとは一体となり、以前のRPAとは様変わりする。DXもAI活用を見据えた段階へと進む。
※RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)パソコン上での複数システムを横断した操作や、正確に同じ操作を繰り返し実行する、作業自動化ツール。
AIがどれだけ営業活動を支援できるのか、活用のヒントにしていただきたい。
(1)活用の前提
生産性向上を目指して、導入結果を出すためには、顧客、商材、販売、人事、訪問記録などが、一体でデータベース化されていることが望ましい。
(2)「AIが営業予定を提案する」
AIが訪問先を一元管理する顧客データを分析し、有望な見込み客をリストアップする。営業担当者の2日後の空き時間を見つけて、見込み顧客とマッチングして訪問予定を登録する。無理な予定にならないよう、AIは前後の訪問先の場所や距離も勘案して訪問先を選ぶ。
(3)「AIが営業商材を提案する」
AIは営業担当者が扱ったことのない商材であっても、売れる可能性があれば提案する。営業担当者はは提案された商材を社内で学習した上で見込み顧客を訪問する。商材について学習する良い機会にもなる。
(3)「日報管理」
営業担当者が登録した日報を中心に分析し、商談の課題や顧客ニーズに関する考察などを指摘する。日報に対して管理者が行うべきアドバイスをAIが提案する。
(4)「営業深耕」
提案した商材以外のビジネスチャンスがないか、施策をAIが立案する。
(5)「顧客フォロー」
納品した商材の稼働状況や顧客からの問い合わせ内容をAIが分析し、顧客へのフォロー内容を提案する。